コラム

第124回 日商簿記検定2級 第4問(工業簿記)の印象

2010年03月03日 15:04

あくまでも当アカデミーの塾生による受験報告を口話から聴き取った範囲での印象による解説なので、現段階では必ずしもその妥当性を保証するものではないことをあらかじめおことわりしておく。

[問題文]HT製作所の労務費に関する下記の資料から、答案用紙の( )内に適切な金額を記入しなさい。なお、当製作所では、直接工は直接作業にのみ従事しており、予定賃率を用いた消費賃金でもって直接労務費を計算している。 間接工賃金と給料に関しては、要支払額でもって間接労務費を計算している。
[資料]
1.給与支給帳によれば、1月21日から2月20日の賃金・給料の総額は3,468,000円であった。内訳は次のとおりであった。

直接工賃金    1,448,000円
間接工賃金       900,000円
給   料    1,120,000円

2.作業時間票によれば、当月(2月1日~2月28日)の直接工の実際直接作業時間の合計は630時間であった。
3.賃金・給料の未払額は次のとおりであった。
   月初未払額  月末未払額
直接工賃金   455,800円   395,500円
間接工賃金   300,000   270,000
給   料   100,000   110,000

4.従業員賞与手当の年間見積総額は9,600,000円である。
5.直接工に対する予定賃率は、直接作業時間当たり2,200円である。

[印象と解説]
(従来の出題傾向よりもかなりきめ細かい内容だなぁ・・・)
という印象を受けた。
 さすがに良く練られた良問であると思うが、正直のところ、平均的な簿記2級レベルの会計学徒がここまでの内容を正確に完璧に解答できることは、問題作成者の意図に反して存外難しいかも知れない、とも感じた。

では、私なりに、解答手順を示そう。
①直接工賃金、間接工賃金、給料の各勘定をT字形で素早く作成する。
②上記各勘定の貸方1行目に[資料]3.に与えられている月初未払額をそれぞれ素早く記入する。
③上記各勘定の借方1行目に[資料]1.に与えられている給与支給額を素早く記入する。
④上記各勘定の借方2行目に[資料]3.に与えられている月末未払額をそれぞれ素早く記入する。
⑤上記各勘定の貸方2行目には賃金・給料の消費額を③の金額+④の金額-②の金額にて、それぞれ記入するのであるが、直接工賃金勘定だけは「予定配率を用いた消費賃金」で計算しているため、[資料]5.の予定賃率2,200円と、[資料]2.の直接工の実際直接作業時間630時間を乗じた金額1,386,000円と記入する。すると、同勘定は借方合計1,843,500円、貸方合計1,841,800円となり貸方にその差額1,700円が記入されて帳尻が合う。これは、言うまでもなく、賃率差異(借方差異)として賃率差異勘定借方に転記される。間接工賃金勘定から判明する消費額は870,000円、給料勘定から判明する消費額は1,130,000円となるのは各勘定の貸借差額から容易に理解できる。
⑥実は、⑤で求めた各数値が賃金・給料勘定にそのまま総合されて記入されるのである。
賃金・給料勘定の貸方1行目は455,800+300,000+100,000=855,800円が前月繰越として記入され、貸方2行目は1,368,000+870,000+1,130,000=3,386,000円が消費額として記入され、一方、借方1行目の支払額はむろん[資料]1.の3,468,000円、借方2行目の次月繰越は[資料]3.の月末未払高合計の775,500円が記入される。この結果、賃金・給料勘定においても貸方3行目に原価差異1,700円が記入されて帳尻が4,243,500円で一致して締め切られる。
⑦製造間接費勘定記入のポイントは、借方2行目の間接労務費の賃金・給料の数値は、間接工賃金の支払額870,000円と給料の支払額1,130,000の合計2,000,000円となることである。借方3行目の間接労務費の賞与引当金は、[資料]4.の年間見積総額9,600,000円を12で割って、月ベースの800,000円の金額を記入すればよい。また、貸方の予定配賦額は借方合計で求められ、5,040,000円である。
⑧仕掛品勘定への記入は、⑧で求められた製造間接費予定配賦額5,040,000円を借方4行目に記入して貸方合計金額9,051,860円との貸借差額を算出し、後はその金額59,630円を月初在高( )欄へ記入すればよい。